理事長退任のご挨拶 秋田 敏彰

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日本コンテンツ振興機構の発足からこの春で丸5年になります。

時の流れと共に過ぎ去った活動の歴史を振り返りつつ平成24年7月に発刊した会報1号を読み返しています。
会員や賛助会員各位のご期待に充分応えきれないまま、理事長を退任することになり申し訳ない気持ちで一杯です。

機構発足当初、活動の柱にした「コンテンツシティー構想」とは最新鋭のスーパーコンピューターを導入してコンテンツ制作各社が共同使用し、人材育成機関やシアターを配置したコンテンツシティーを創ろうと言うものでした。

沖縄県を始め瀬戸内市、仙台市、そして北海道などシティーの誘致に前向きな自治体との折衝も続けました。
また、経済産業省の「CG・VFX共通基盤検討委員会」に参画し半年間に亘り実証実験を行ったりもしました。
しかしクラウドに象徴される情報通信技術の進歩や技術環境の変化は著しく、当初のシティー構想は諦めざるを得なくなりました。

事業委員会、ビジネスクリエイション部会、技術委員会では新たなシティー構想の企画に注力すると共に会報でご報告した通り具体的な活動にも取り組みそれぞれ一定の成果を出してきました。

しかし日本のコンテンツ産業を取り巻く環境は、機構設立当時より一層厳しさを増しています。

アメリカの大型企画を始め中国のアニメーション制作技術の著しい向上と資金力、韓国の国策によるコンテンツ海外展開などに対抗して日本は国際競争力を保持し続けて行かなければなりません。
また国内においては最新の技術を取り入れる資本力の増強や、制作現場での労働環境の改善は待ったなしの課題です。

日本のコンテンツ産業の維持・発展の為の課題を洗い出しそれらの課題への対応策をいち早く提言すると共に、課題解決に向けた具体策に取り組まなければなりません。
そういう意味において弊機構の役割は今後も大きいと考えます。

野口理事長、小山副理事長、小坂専務理事の新3役を中心に活動の輪を拡げ日本のコンテンツ産業界においてその存在感を強めて頂きたいと願っています。

小生は今後とも一理事として活動を支えて行きます。
会員・賛助会員各位におかれましてはこれまで同様に新執行部並びに機構を引き続きご支援して頂きますようお願い致します。

会員・賛助会員各位には、5年間にわたり拙い理事長に頂きました
ご指導ご協力に衷心よりお礼申し上げ退任のご挨拶とさせて頂きます。
有難うございました。

平成29年3月吉日
秋 田 敏 彰